8月になったというのに、梅雨時期のようなジメジメ感。7月中の猛暑はどこにいってしまったのでしょうかね。

さてさて。先日、過去のブログやHPを見直していたら、6~7年前に書いたものですが、妙に新鮮に感じ、是非とも皆さんに読んで頂きたいと思うものがありまして、再喝させて頂きます。

私たちの地域福祉ってこんな感じで出来ているんだなぁと再確認させて頂きました。

以下長文になりますがお付き合い下さい。


今回はさやかグループを利用されている方の散髪のお話です。

知的障がいを持っている方、特に行動障がいや自閉症、多動な方たちの中には、床屋さんや美容院に行って散髪することが困難な方たちがまだ大勢いると伺います。

「行きたいんだけど、お店や他のお客さんに迷惑をかけてしまうから。」

「じっと座っていられないから。」「お店の人に、断られてしまった。」 etc・・・

人それぞれ、色々な理由があると思いますが、特別の場所ではなく、誰もが当然のように足を運ぶ場所に、行けない。

行くことを躊躇せざるを得ない。

これはとっても辛い、切ない事だと思います。

聞くだけで胸が苦しくなってしまいます。

幸いにも、秩父地域には理解とご協力をいただける床屋さんや美容院さんが存在し、少しずつですが、住んでる地域や、自分の好みに合わせお店を選べるようになってきたと思います。

今日ご紹介するのは、当時大柄で行動障がいのあった男性Sさんと、その散髪を快く引き受けてくださった理容師さんとのやりとりです。

Sさんがこの床屋さんを利用し始めたのは、3・4年前からでした。

この男性Sさんは、ご家族や自身の努力もあり、現在は大変スマートになられたのですが、当時の年齢は20歳前、体重は100キロを超す巨漢(ご家族の方ゴメンなさい)でした。

気になる事やこだわる物があると、それをめがけて突進してしまう事も多く、確かにそれを制止するのは一苦労でした。

で、ある時Sさんのお母さんからSさんの散髪について

「おしゃれな髪型にさせてあげたいけど、Sくんがじっとしていられないのよね。どこか良い所ないかしら?」

と相談を受けました。

その時即座に思いついたのが、私の友人のこの理容師さんでした。

相談すると二つ返事でOK。

ただ、今思えばこの方なら、Sさんの突進にも対応できるかな?という安易な考えでお願いしたような気がします。

実はこの方、Sさんを上回る『大柄』なんです(笑)

来店当初は物珍しさも手伝って、トイレにこもってみたり、店内のあちこちを物色しようとしたり、自宅スペースに入り込んでしまったりと落ち着かない事も多々ありました。

それでも、理容師さんとのフィーリングが合ったのでしょうか?

彼のこだわりの先が、色々なものから徐々に理容師さんとの会話に向かっていったんですね。

気づいたらSさんから理容師さんに色々と質問攻めをしていました。

それに対し理容師さんはいやな顔一つもせずに応えてくれていました。

帰り際にこちらから「大変だったでしょ?」
と理容師さんに尋ねると、

「別に、フツーだよ。普通に一人のお客さん。来てくれて本当にありがたい。」

とサラリと返してくれたのがとても嬉しかったことを記憶しています。

Sさんと理容師さんとの関係は、回数を追うごとにどんどん懇意になっていきました。

この理容師さんは、障がいについての知識がある訳でもないのですが、やはりお客さんとのコミュニケーションは百戦錬磨、プロフェッショナルなんだなぁとつくづく感じました。

興味のありそうな会話でSさんの気を引き、落ち着かせたところで、スピーディー且つ丁寧にカットしていきます。

始めは嫌がったというか、動き回ってしまい出来なかった髭剃りも、5回目くらいからは気持ちよさそうにじっとしていられる様になり、眉毛のカットまでできるようになりました。

この間は短髪なのに、「すいません。リンスもしてください。」なんてリクエストもしていました(笑)
今では、付添い者も待ち合い席に座って待っていられるほどです。

お母さんも仕上がった髪型を大変気に入ってくださっています。

今では、Sさんだけでなく情緒面での支援が必要な方や引きこもりがちな方も利用させていただいております。

散髪だけでなく、会話で気持ちを上向きにして下さるので、皆さん、終わった後は髪型だけでなく、表情もとても良い顔をしています。

長々と書いてしまいましたが、私がつくづく感じたのは、

「地域の人たちの支援力は、福祉の関係者が思っているよりも高いものがある。」という事と、

そして、その事を理解できてないがために、逆に「私達関係者が地域生活のハードルを上げてしまっている可能性がある。」という事でした。

今後は肝に銘じて、支援にあたりたいと思いました!


以上が6~7年前に書かせていただいた内容です。

時が流れ、彼がこのお店を利用されるようになり10年以上が経過しました。彼からスタートした障がいのある方の利用も徐々に増え、現在では10人以上の多様な障がいのある方が通われています。

また、先日お店がリニューアルした際に、マスターのたっての希望で、お店に飾る書をSさんに頼みたいとのお話しを受けました。Sさんは、趣味で書道を習っており、心温まる作品を作られるんですね。

その依頼にはSさんも快諾して、素敵な作品を創り上げてくれました。今はお店の中心に飾られており、多くのお客様から好評を博しているそうです。この書を見るたびに、Sさんとマスターの10年以上に渡る関係性を感じる事ができ、なんだか嬉しくなってしまうのです。

ご紹介させていただいた床屋さんは、秩父市の「バーバースナガ」の須永さんでした。

ご興味のある方はぜひどうぞ!住所:秩父市東町2-7 電話:0494-22-1160